売る楽しみ、売れる喜び

伝えたいことや自分の備忘録として書いていきます。

お菓子屋さんの改善計画についてのお話し

経営革新等支援機関(いわゆる認定支援機関)が作成支援した経営改善計画書を基に、その会社の代表者の方とお話ししてきました。

今日はその時の内容をおおまかに備忘録として記録します。

これまでの会社の流れ

創業したのは何十年も前の老舗店で代表者も数度変わっています。

現在の代表者は創業者の親族筋ですが、前代表者の退任の際に急に声をかけれれ、引き継ぎも特になく、30代でいきなり代表者を任されました。

従業員はベテランばかりで、若い人間が急に代表者になったことを良しとは思っておらず、代表者と従業員の間に大きな溝があります。

そうこうしているうちに従業員が高齢や健康上の都合により辞めていき、生産体制に支障が生じ、土産品の納品もしているのですが生産が追い付かず、納期遅れが発生して、取引先へ迷惑をかけ、信用を損なうような状態になっています。

そうなると売上にも影響し、資金繰りが厳しくなっていきます。

そこで認定支援機関に話がおよび、今回の計画策定に至るわけです。

計画の内容

数値計画については基本なりゆきでの算定となっています。

当然アクションプラン記載の部分で売上や利益率、人件費などは変わってきます。

売上高の増強策については、「代表者自らの営業活動」、「生産体制の構築」、「パッケージや見せ方の見直し」などとあります(こうしたものは計画のアクションプランによく使われます)。

返済計画については、フリーキャッシュフロー(FCF)の70~80%を返済財源に、取引金融機関の残高割合に合わせて、按分返済するというのがお決まりのパターンです。

【備考】

ここでいうFCFは「営業CF-投資CF」ではなく、減価償却当期純利益です。

損益計算書だけで返済原資が確定でき、かつ算定や取引金融機関の理解が得やすいといったことが良く使われる要因かと思います。

一方で損益計算書だけで算定されるものだから、投資CFについて計画で触れられていないことが実務上ではよくあります。

その結果、蓋を開けたら車両や生産機械の更新で資金投入したが為、資金繰りが回らない、やっぱり返済は出来ないということが発生します。

代表者とのお話し

ここからが本題というか備忘録として記録したいことです。

一通り計画について説明・質問をしたところで次のことを聞いてみました。

「何の制約もなかったとして、将来どのような状態であることが理想ですか」

返答は「従業員含めてみんなが笑顔で働いていることが理想」というものでした。

計画に記載はありませんでしたが、実の一番の悩みは従業員とのコミュニ家―ションだったのです。

この会社の代表者に就任以来、従業員とはコミュニケーションがうまく取れておらず、代表者が職場に入ると、職場の空気が悪くなるそうです。

協力的な関係ではなく、指示されるのを嫌い、ただ機械的に働いているというのが代表者の従業員評でした。

仮に生産体制の構築をしようとして、人員を追加したとして、協力体制が構築できる人間関係がなければ絵に描いた餅で、更には代表者が営業に出る時間も捻出できず、計画のアクションプランは実行されることなく、ただただなりゆきで業績悪化が進む可能性があるという厳しい状況だと感じました。

そこで次の質問をしました。

「10点満点の未来を想像したとき、どのような状態が理想ですか」

「また、現在は何点ですか」

返答は「しっかりコミュニケーションが取れて、みんなが笑顔で自発的に会社のために、お客様のために考えて働いていて、売上と利益がとれて資金繰りに悩んでいないこと」、「現在はマイナスだと思うが・・・強いていうなら2~3点」とのこと。

そこでまず現在が2~3点という評価に対しポジティブに「厳しいといいながらも現時点で2~3点取れるだけのものがあるじゃないですか!」と返しました。

代表者からは「そうですね。お客さんも喜んでくれている人やリピーターもいますし」という言葉。

理想について「笑顔がみんなに出ていて、楽しく仕事が出来る環境で、愛情を持って生産や接客をしてほしい。それは代表である自分がいるときでも」、「従業員と同じ目標をもって走りたい」、「地域一番店として地元の人に愛される店にしたい」と言われました。

また質問しました。

「現在の2~3点から1点引き上げるために出来ることは何ですか」

返答として次の三つが出ました。

1.従業員との関係性をつくる。

2.欠品をしないようにする。

3.新商品をつくる。

現在は生産上の問題があり出来ていませんが、代表者は本当は季節の商品や自分が作りたいものを作ってお客様に喜んで欲しいという思いがありました。

ただそれには従業員との協力関係が欠かせません。またまずは現在の問題である納期遅れを解消するためにも生産体制を整え欠品をなくす必要があります。

優先順位は”2”から。やっぱり”1”は取り組まないと。”3”はその後ということでした。

「社長という肩書ありきのコミュニケーションではなく、対等の関係で、同じスタートラインになって、一緒に現状をもっと良くしたい」という言葉が出ました。

「そのために出来ることは何ですか」

この問いには「コミュニケーションを取る努力をします」と返答がありました。

どうしても欠点が目について注意や叱責してしまうとのことでした。

なので是非良いところを探して、そこを誉めるとか、感謝を伝えるということをするようお願いしました。

そうして、今後の業績改善に期待していますと伝え、お話は終わりました。

 今回のお話を終えて

仕事的には計画の精査、実現性について評価・検討などをします。

それはアクションプランしかり。

ただそのアクションプランについては具体的な道筋がついていなかったり、やらないといけないよねとか後ろ向きな姿勢だったりすることがあります。

今回、話をしていく中で、会社としてクリアしないといけないのはコミュニケーションの問題で、これが出来ないと生産体制の整備も今後の展開も厳しいものがあるように感じました。

会社として、代表者として、本当は何をしたいのか、現状はどうなのか、何が制約となっているのか、その制約をどうすれば取り外すことができるのか、そのための第一歩として何が出来るのか。

目的論的に話をすることで、前向きに未来を見据えて話をすることが出来ました。

未来からの逆算でそのためにはまずこれをやろうという話の流れになります。

これまでは「これはどうしてですか」「過去こうだったのに本当に出来るのですか」という感じで比較的過去や原因に捉われた見方をしてきたのですが、視点を変えることで、生きた質問が出来たのかなと思いました。

この会社については今後も動向を見ていって、どの変わっていくのか確認したいと思います。

そして他の会社についても今回のような視点での質問をしてみたいと思います。